ロマネスク・ロイドめがね 1



―――――眼鏡?



「…もし、もしもーし、大丈夫ですか?」

目が覚めると、そこは眼鏡だった。

「やぁ、気がついたみたいですねぇ。よかったよかった」

眼鏡はにこにこ笑う。
…笑う眼鏡だ。すげぇ。捕まえたら有名人になれるかなあ。

「どうしました?眼鏡がそんなに珍しいですか?」

「眼鏡!!」
「うわあ?!」
「眼鏡ーーーー!!」
「っ次郎?!どうしたんだよ!!」
「健!眼鏡が!」
「眼鏡?」
「その眼鏡は俺のものだ!!」
「落ち着けよ次郎!!」

殴った。
倒れた。

ダイイングメッセージは眼鏡。

「しまった、強く殴りすぎた!ごめん次郎!!」
そして彼の意識はまた眼鏡以前に戻ったのであった。

つまり、昏倒。





「ほんとすみません…」
「いやいや、大丈夫ですよ、あっはっは」
「まったく、命の恩人になんてことするんだよ次郎」
「それがさぁ、何があったのかよく覚えてないんだよな、実は」
「まあいいじゃないですか、何事も無かったわけだし」
二人「ほんとすみません…」
「いえいえ。ところで、どうして貴方達は倒れていたんです?」
「ええと、それは…」

ぐーーぎゅるるるるる

「話せば長いようなそうでないような…」

ぎゅおおおぐるるる

深刻な表情の割には鳴り止まない腹の音。
何で倒れていたかなんぞ一目瞭然だ。

「空腹のあまり行き倒れたんですか?」
「ええ、そうなんです」
「何でわかったんですか?!」
「まあ、なんとなく…」

眼鏡は…もとい、眼鏡のお兄さんは、それなら家に来るといい、と二人を招待してくれました。
空腹の二人は喜んで眼鏡のお兄さんの家に行くことにしました。

「よかったな健!これでようやくご飯が食べれるぞ!」
『あの人……かっこいいな…』



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