電波と犬とワルツを。





―――バカと変態―――

《外》

ラック 「暗くて何も見えないなあ…ちょっと危ないけど、広いからたぶん大丈夫だよね……
     やっちゃえ!キャノン砲発射!」
    音:ドッカーーーン
タクミ 「うわっ?!あぶねぇ!」
ラック 「あ、いたいた、よかったぁ。見つからなかったらどうしようかと思ったよ。」
タクミ 「よかったじゃねーよ!危ないだろ?!」
ラック 「ごめん…でも一瞬でも明るくなった方がいいかなと思ったから…。
     さあ、タクミ、帰ろうよ。もうこんなに暗くなっちゃったし、今日はDのとこに泊 るしかないよ。」
タクミ 「しかたねぇなあ…。あ、でも、オレ帰り道わかんねー。」
ラック 「あ、オレもわかんない…。」
    音:タッタッタッタ
カヲル 『あ、おった!!って、かなり親しげ?!』
    音:チュドーーン
カヲル 「うわ?!」
タクミ 「あー、あっちかー。あれ、カヲルじゃん。何してんだ?」
カヲル 「今の何?!めっちゃ怖かってんけど!」
ラック 「あ、ごめんカヲル!道わかんなかったからキャノン砲で明るくしようと思って…
     ケガとかしてないか?あ、でもキャノン砲当たったらケガじゃすまな いか…」
カヲル 『ラックさんが初めて心配してくれた……』
?   「見ぃつけたぁー!」
タクミ 「…は?誰、アンタ」
雷   「アンタですってぇ?!世界一かわいい雷(ライ)様にむかって、何て事言うのよぉ?!」
カヲル 「世界一かわいいやとぉ?!何言うとんねんおまえ、世界で一番かわいいのはッ、ラッ……ラッ……『言うんや、今こそ言うんやッ!』」
雷   「ほぉら、雷様でしょん?」
カヲル 「ちがぁうッ!とにかくっ、お前よりかわいいヤツがこの世の中にはおんねんッ」
タクミ 「何照れてんの。」
雷   「やっぱり雷様がかわいすぎて照れてんじゃないのん?
     『ああ…私ってばやっぱり見とれられるほどかわいいんだわん…
     私のかわいさは世界一…いえ、宇宙 一なのねぇんv』 エヘヘヘへ」
風   「聞こえてるぞ。」
雷   「へ?」
風   「何やってんだこの変態妹!」
    音:ドカ
雷   「いったぁい!雷様に何すんのよぉ!」
風   「雷様って何だよ変態妹ッ」
雷   「変態って言うなこのバカっ」
タクミ 「何だコイツら。いきなり出て来てケンカしだしたぞ。」
カヲル 「無視して…帰ろう。」
ラック 「うん、そうしよう。」
雷&風 「ちょおっと待ったぁ!!」
ラック 「何だよぉ、あんたら勝手にケンカしてたんだろ。オレ達もう帰るんだからさ、ほっといてよ。」
タクミ 「そうそう。」
雷   「雷様はアンタ達に用があんのよ。ホラ、えっと、何だっけ…
     ………忘れちゃった、エヘv」
風   「忘れんなこの変態妹!」
雷   「なぁによぉ、じゃ、アンタは覚えてるっていうのぉ?」
風   「あったりまえだろ!任務だよ、任務!」
雷   「えぇ〜?何だっけ〜?」
風   「とにかく強そうな武器をかっさらってくる事だよ。」
雷   「あっ、そっかぁ!ってことでぇ、アンタの持ってるそのキャノン砲、ちょーだいv」
ラック 「嫌だ。」
風   「仕方ないな。変態妹…やれ。」
雷   「なーんでアンタに指図されなきゃいけないのよん。ま、いっかぁ。じゃっ、戦闘開始ぃ!」
    音:ぽん
D    「君達…かわいいですね…ふふ………。私の店で働きませんか?」
風   「ギャーーーーーーーーーーー!!」
雷   「え?やっぱりわかるかしらん、雷様のかわいさがvうれしいわぁんv
     …でも…ごめんなさい…あなたのところで働くわけにはいかないのん。だって…
     だっ て、世界中の人たちが雷様のかわいさを求めているんですものん!」
D    「そうですか、残念ですね…」
風   「お、おまえ誰だよ。」
D    「私ですか?…あなたにだけなら、教えてあげてもいいですよ。」
風   「い、いえ、結構です…」
カヲル 「先生!遅いですよー。」
D    「すみませんね、場所がわからなかったもので。もっと早く来たかったのですが…」
アズマ 「ラックさん!大丈夫ですか?」
ラック 「アズマ!うん、大丈夫だよ。」
エマ  「まるで保護者だな…」
レイ  「やっと着いた…。まったく、夜は危険だとあれほど言ったのに…」
カヲル 『せっかくうまくいったら二人きりになれると思ったのに…。やっぱ無理か………』
雷   「何かいっぱい来ちゃったぁ。雷様ピぃンチー。」
風   「でも強そうな武器持ってるぞ。よし、変態妹、皆かっさらうぞ。」
雷   「OKーって変態妹って呼ぶなーッ」
レイ  「何なんですか、あの人達は。」
タクミ 「ただの変な人じゃねぇのか?」
雷   「何ですってェ?!失礼ねぇ!雷様を侮辱するなんてッ、覚悟はできてるんでしょうねぇッ?!雷光来電ッ!」
    音:ピシャーン
タクミ 「うわっ、危ねぇ!焼けてるぞここ!」
エマ  「当たればこの世のためになったのに…」
ラック 「何言ってんのエマ!」
エマ  「バカが減っていいじゃないですか。」
アズマ 「そんな事言ってる場合じゃないですよ!大丈夫ですかタクミさん!」
全   「遅いって。」
風   「俺…あいつらに親近感感じるな…」
雷   「そんなこと言ってる場合じゃなぁいでしょッ!雷様を無視するなんてッなぁんてコト?!
     もぅ、上級魔法でいっちゃうからぁッ!雷光天ッ」
    音:ドコォン!
タクミ 「うわっ!…って、あれ?」
エマ  「落ちてきませんよ。見てくれだけですか?」
レイ  「違う所に落ちたのでは。」
D    「ああっ!私の店が…!!」
ラック 「え?!店壊れちゃったの?!」
タクミ 『ラッキー♪』
雷   「アレ・・・失敗しちゃったぁ。てへっv」
風   「おまえ…カワイ子ぶっても気持ち悪いだけだぞ変態妹…」
雷   「なぁんですってぇ!?」
風   「とにかくもうお前魔法使うな!どうせまた外すんだから!」
雷   「なによこのバカッ そこまで言うならあんたが行きなさいよぉッ」
風   「言われなくともやってやるよ!いくぞ!颪!」【おろしです】
    音:ビュオオオオオッ
カヲル 「うわっ いきなり風が!」
タクミ 「いでいででで!!!石が飛んでくる!」
ラック 「いたたいた!腕が切れた!」【何て説明的セリフざんしょ】
レイ  「風を操っているのか…」
D    「なかなかエコロジーな魔法ですね…」【?】
エマ  「まぁ名前ほどの威力ありませんけどね。」
タクミ 「っておい!そんなん言いながら何自分たちだけ避難してんだよ!」
D    「おや、私にそばに居て欲しかったんですか?嬉しいですね…」
タクミ 「そういうこと言ってんじゃねぇっつの!よし、オレも避難するぞ」
ラック 「ええええ!?タクミ???!?」
風   「よし、キャノン砲の奴一人になったぞ、とどめだ雷!!」
雷   「わかってるわよ、風!いっくわよぉ、雷光天――――!!!」
    音:ドコォォォン!
ラック 「うわぁぁ!………って…あ…」
雷   「あ、あれ?また失敗ぃ?今度はどこに…」
風   「……………お、……おまえはっっ、〜〜〜〜!!」
雷   「あ、あら、…ど、どうしてそんなに黒こげなの、風?…え、も、もしかして…」
ラック 「つまり、」
レイ  「そういうことですね…」
エマ  「同士討ち…ふっ、バカな奴ら。」
風   「お前という奴は〜〜〜〜〜っ!!!」
雷   「ご、ごめんなさぁい、お・兄・様v」
風   「こんな時だけ妹面しても無駄だ!」
D    「かわいそうに…私が直して差し上げましょう。この薬草で…」
風   「うわぁ!いらん!いつの間に俺の背後に!」
D    「愛のなせる業です…」
風   「と、とりあえず今日は引き上げだ。次は覚悟しとけよお前ら!」
雷   「そうよぉ、次こそは雷様のカワイさと実力でぎゃふんと言わせてあげるわ!」
風   「おまえは俺のケガが直ったら覚悟しとけ。じゃあな!」
雷   「またねぇv」

……

タクミ 「なんだったんだ一体…」
ラック 「何かまた会いそうな気がする…」
エマ  「類は友を呼ぶというしな。」
ラック 「何それ?」
エマ  「…バカとバカは引き合うという意味だ。」【違う】
カヲル 「それよりラックさん、ケガは大丈夫ですか?」
ラック 「うん、大丈夫だと思うけど…うわ、皮がパックリ…」
レイ  「この傷はなかなか塞がりそうにありませんね。開いたままだと危険ですよ。」
D    「私が傷口を塞いであげますって。」
アズマ 「あの…」
レイ  「危ない薬草を使うならやめて置いてください。さらに危険ですから。」
D    「危なくはないですよ。なぜなら私はいつもそれを使っているし…」
アズマ 「あのう…」
タクミ 「おーい、なんかアズマが言いたそうだよ。」
レイ  「なんですか、アズマさん」
アズマ 「僕がやります。」
全「え?」
ラック 「治せるの?アズマ…」
アズマ 「僕、治癒魔法が使えるんです。」
レイ  「…そうですか。」
ラック 「よろしくアズマ。」
アズマ 「リザレクション」
    音:(ホワァとか…そんなんかねぇ)
タクミ 「おおぉぉ!」
ラック 「すごい、治った!全然痛くないし…」
レイ  「傷口も塞がってますね。」
エマ  「人には意外な特技があるもんですね。」
ラック 「アズマ、ありがとう〜」
アズマ 「いえいえ、どういたしまして」
カヲル 『…やっぱ慕われてんなアズマさん…僕、勝てるはずないわ…』
エマ  「それよりあなた今までどこに居たんですか。さっきの戦闘でセリフなかったみたいですけど。」
アズマ 「あの、ずっとここに居ましたけど…」【まさか作者がアズマの存在を忘れていたなんて…まさかそんな筈は。】
エマ  「ほんとうですか?」
ラック 「それよりさっきの奴らほんと何だったんだろう。」
レイ  「キャノン砲を狙ってたみたいですけど…」
エマ  「そんなのどうでもいいじゃないですか。私たち、勝ったんですから。」
アズマ 「いや、あれは相手の方が勝手に…」
ラック 「エマ…そうだよね、おれたち、勝ったんだもんね!」
エマ  「みんなの力を合わせればというやつです」
アズマ 「いや、違うような気が…」
ラック 「そうだね、エマ!
     ―――――あ、皆、朝日だよ!」
    音: My Heart Will Go On【何でや】
レイ  「きれいですね。」
D    「長い夜でしたね。」
カヲル 「いろいろありましたから。」
ラック 「今日という一日が、無事に過ぎるといいね…」
タクミ 「ぐーぐー…」
ラック 「って寝るな!」
    音:ドカ
タクミ 「いって!」
ラック 「せっかく人が感動の雰囲気を作ろうと頑張ってるのに…」
レイ  「この話に感動ってあんまりないですからね。」
エマ  「まぁ失敗に終わってますけどね。誰もここを感動シーンだなんて思わないだろう。」
ラック 「う…とにかく寝るなーー!」
タクミ 「だって昨日からオレずっと寝てねーんだもん。眠いッたらありゃしねぇ!」
ラック 「デリカシーのないやつだな!」
タクミ 「おまえにいわれたくない!」
アズマ 「二人とも、喧嘩はやめて…」
ラック・タクミ「うるさい!」
アズマ 「ひぃ!」
エマ  「情けない…」
D    「あ、しまった!」【不自然】
レイ「何ですか?」
D    「私の店が壊れてしまったことをすっかり忘れていました…」
アズマ 「そういえば…どうするんですか、これから。店の再建でも・・・?」
D    「そう言いたい所ですけど、私はあなたたちのことが気に入りました。
     特にタクミさん、君がね…」
タクミ 「な、何言ってんだあんたは。」
D    「ふふ、照れなくてもいいじゃないですか。」
タクミ 「照れてねぇッ!おまえの目は節穴か!」
D    「まぁとにかく、私はあなたたちのことが気に入ったので、よければ一緒に旅をさせていただけませんか?」
ラック 「う〜ん、…アズマ、どう?」
アズマ 「ラックさんさえよければ、僕はいいですけど…」
エマ  「主体性のない…」
ラック 「レイは?」
レイ  「構いません。」
ラック 「カヲルは…」
カヲル 「僕はっ先生と旅を出来るなら嬉しいです!」
D    「カヲル君!」
カヲル 「先生!」
    音:キラキラ
エマ  「またやってる…」
ラック 「エマは…」
エマ  「ええ、歓迎しますよ」
ラック 「エマにしたら珍しく友好的だね。じゃあ、いっか。満場一致で一緒に旅することにけってーい!」
D    「ありがとうございます。いやぁ、私は幸せ者です。」
タクミ 「ちょっ・と・ま・て!」
ラック 「何?」
タクミ 「何でオレにきかねぇんだよ!」
エマ  「だって二人とも仲よさそうじゃないですか。ねぇ皆さん。」
ラック 「うん、仲よさそうだねー。ね、アズマ。」【悪気ない】
アズマ 「そうですね。とても仲よさそうです。」【悪気ない】
D    「そうですか、あなたがそんなに私を慕ってくださっていたなんて、知りませんでした。
     タクミさん。私は嬉しいですよ。お礼にこの薬草を差し上げましょう。」
タクミ「そんな得体の知れないもんいるか!慕ってねぇよ誰もッ!とにかくオレはこんなやつと旅するのはイヤだ!」
カヲル 「先生をこんなやつとか言うなっ」
ラック 「何でヤなんだよ?」
タクミ 「何が何でもいやだー!」
エマ  「嫌い嫌いは好きのうち…」
タクミ 「誰がッ!?」
レイ  「さぁ、次はどこへ行きますか?」
ラック 「次?あぁ、次、次…次の町に行って情報集めだ!というわけで、ハイ地図。」
レイ  「……私に任せていいんですか?迷うかもしれないのに?」
ラック 「でも、このなかに他に任せられそうな人いる?」
レイ  「・・・・・・・・・・わかりました。迷っても知りませんよ。」
ラック 「いーよいーよ、一蓮托生だもん!」
タクミ 「難しい言葉使うなよ…なんか眠くなってきたじゃんか…」
D    「ふふ、添い寝してあげましょうか?」
タクミ 「い・ら・ん!」




(C)芝・想架創

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