電波と犬とワルツを。





―――そういう日もある―――

《道中》

ラック 「レイー、まだ着かないのー?」
レイ  「ええ、まだですよ。次の町は結構遠いみたいですから」
アズマ 「もう日が暮れてきましたね…」
レイ  「…仕方ない、暗くなってから歩き回るのは危険ですから…今日はここで野宿しましょう。」
タクミ 「うん、じゃあおやすみ。」
     音:バタッ
タクミ 「ぐーぐー」
ラック 「早ッ」
D    「疲れていたんですね…」【タクミ、目を覚まさないと危険人物がここに!】
レイ  「まぁ寝かせといてあげましょう。昨日から寝てないですし。」
アズマ 「でもこのままでは風邪を引いてしまうかも…」
ラック 「焚き火でもたこうか。」
レイ  「いいですね。では、私が枯れ木を拾ってきましょう。」
カヲル 「あ、僕も行きます。」
ラック 「じゃあオレはこの辺の枯葉集めて、焚き火の用意しとくね。」
D    「私も手伝いますよ」
ラック 「いってらっしゃ〜い。」
カヲル 「行ってきます、ラックさん!」
エマ  「私はアズマさんと一緒に食料調達に行ってきますね」
アズマ 「え、!?」
ラック 「え、ゴハン作るの?」
エマ  「ええ。」
ラック 「何か楽しいね!そういうの!よろしく、エマ、アズマ!」
アズマ 「は、はい…」
エマ  「何してるんですか、行きますよ。」
アズマ 「は、は、はい。」
ラック 「いってらっしゃーい。」
タクミ 「ぐーぐー」

カヲル 「ラックさ〜ん!」
レイ  「拾ってきましたよ。」
ラック 「おかえり〜。じゃあ火、おこすから手伝って。」
カヲル 「はい!…あれ、先生は?」
ラック 「ん、Dのこと?なんか薬草探しに行くって言ってどっかいったよ。」
カヲル 「そうですか…」
ラック 「それよりカヲル、木切れ積むの手伝って。」
カヲル 「喜んで!!」『ラックさんの頼みごとやー!』
レイ  「食料調達にいった二人は…?」【名前で呼んでおあげよ…】
ラック 「んー、まだだよ。そういや結構たつのに帰らないねぇ?どこかで迷ってたりして。」
レイ  「あり得ますね。」
エマ  「誰が迷ってるんですって?」
ラック 「うわぁあ!…あ、エマか、びっくりした。…Dみたいな登場しないでください。」
エマ  「なんで敬語になるんだお前。」
アズマ 「食料集めてきましたよ。」
ラック 「わ〜い、ありがとう!何が取れた?」
アズマ 「え〜と、何が取れましたっけ…」
エマ  「……獣肉鶏肉魚肉人肉?」
ラック 「人肉!?」
エマ  「ふふ、冗談ですよ。」
カヲル 「目が笑ってない…」
アズマ 「それに雑草の中に食べられるようなものがあったので。」
ラック 「ありがと!よし、肉焼くぞ!」
レイ  「じゃあ私は持ってる米と、この雑草を使って簡単な雑炊でも作ります。」
             
【鍋とか持ってきたのかよとかそういう突っ込み受け付けません】
アズマ 「僕水汲んできますね。」
カヲル 「レイさん、雑草切るの手伝いましょうか?」
レイ  「ええ、お願いします。」
エマ  「じゃあ私はできるまで寝ます。」
ラック 「エマ!」
エマ  「冗談じゃないですか。あなたに任せといたらちゃんと食べられるものが出来るかどうか心配ですし。」
ラック 「ひど!オレだって料理ぐらいできるよっ!」
エマ  「…お前、そう言う割には肉の焼き方間違ってる…」
カヲル 「わあ、何で火の中に鳥肉を放り込んでるんですか?!」
ラック 「え、こうするんじゃないの?」
カヲル 「焦げちゃいますよ!」
エマ  「おまえ、料理したことないのか?」
ラック 「う〜ん、まぁね。旅の途中とかだったら非常食食べてたし、家だったら、め…いや、めったに作らないし。」
エマ  「ふ〜ん」【どうでもよさげ】
レイ  「とりあえず焼いてください。」

ラック 「まだ?もうすぐ?早く焼けないかな〜!」
エマ  「うるさい。」
ラック 「…エマ〜…」
エマ  「ちょっとそっちで遊んでなさい。」
ラック 「ぐ!ガキ扱いするな!だってタクミ寝てるし遊べないんだも〜ん!」【結局遊びたかったのか】
レイ  「雑炊出来ましたよ。」
ラック 「!わ〜い!」
エマ  「肉もそろそろだな。」
ラック 「食べよう食べよう!」
アズマ 「はい、食べましょう。」
     音:ガバッ【起きた音…】
タクミ 「なになに?メシ?」
ラック 「あ、起きた。」
エマ  「がめつい…」
     音:がつがつむしゃむしゃ
ラック 「むぁんくくぁんほむぃらいえあろひぃね!」
アズマ 「え、なんですか?」
     音:ゴクン
ラック 「…何かキャンプみたいで楽しいね!」
レイ  「キャンプ…」
ラック 「こうやって皆で火囲んで、外で作ったゴハン食べてさ…
     あ、あとで皆で歌歌おう!」
エマ  「バカかお前は。」
ラック 「え〜!いいじゃん楽しいじゃん!ね、レイ!」
レイ  「は?あ、ええ、そうですね。」
ラック 「ほら、レイも楽しいって!歌おうね!」
レイ  「?歌うんですか?」
ラック 「歌わないの?」
タクミ 「…なんか二人、話かみ合ってね―ぞ。」
エマ  「眠いんじゃないですか?」【芝さんが。】
ラック 「これ、も〜らい!」
タクミ 「うわ!おいラック、それ俺がさっきからキープして焼いてたやつだぞ!」
ラック 「えぇ〜、でももう焦げそうじゃん。」
タクミ 「俺流の焼き加減があるんだ!」
D    「ああ、酷いですね…私をおいて先に食べ始めるなんて…」
タクミ 「うわぁ!出たあー!」
D    「そんなに驚かなくてもいいではないですか…
     しかし私の登場がそれほどまでにあなたの心を捉えたのなら喜ばしいことです。」
タクミ 「…こいつ、絶対、頭おかしい。」
アズマ 「Dさん!すみません、先にいただいてます。」
ラック 「ふぉかえいー!」
カヲル 「先生、遅かったですね。」
D    「少し奥のほうまで行ってしまって…その代わり、収穫はありました。」
カヲル 「何か珍しいものでもあったんですか?」
D    「ええ、まぁ。この根ですけど、これはトリキオという草の根でして――」
ラック 「あ、雑炊おかわりー!」
レイ  「はい。」
タクミ 「あ、雑炊おかわりー!」
レイ  「はい。」
エマ  「あ、雑炊おかわり。」
レイ  「はい。」
アズマ 「あ、じゃあ僕も…」
レイ  「もうないです。」
アズマ 「あ、そうですか…」
D    「……」
カヲル 「先生…」

タクミ 「あ〜食った食った!」
ラック 「じゃぁ、寝るのは各自好きなところでね。」
タクミ 「おう!じゃ、おやすみ。」
全   「おやすみなさい」
ラック 「朝はここで集合だからね!タクミ、寝坊するなよ。」
タクミ 「わーかってるって。」
カヲル 「あ、あの、ラックさん、話が…」
ラック 「ん?なに?」
カヲル 「あの、その、…実は、…………ぃ…やっぱいいです。」
ラック 「??」
カヲル 「その、おやすみなさい!」『あかん!僕って勇気ないわ…』
ラック 「あ、うん、おやすみ。」




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